実験に使うアルコールを無水エチルアルコール(C2H5OH)とする。Naの比重は0.97でアルコールよりも
多少比重が大きいので、アルコールの中にNa片を入れると沈みます。アルコールとNaの反応式は

2C2H5OH+2Na=2C2H5ONa+H2


生成物の物質名はナトリウムエトキシド。


アルコールにナトリウム片をいれる実験は一回だけでは面白くありません。
何回か同じ実験手順を繰り返すと、とても面白くなります。実験手順といっても、
アルコールにナトリウム片を入れて、その様子を観察するだけですが。


一回目
Naは試験管の底まで沈み、さかんに水素の泡をだす。水にNaを入れた時ほど激しくはない。底のあたりで動き回り、 しだいに、浮き上がって来て、最後には液面にまで上がってきます。その後も気泡を出し続け反応熱により、Naが融解し、球形になる。 そして、Naはみるみる小さくなりなくなってしまいます。
二回目
ここで、再びさきほどの試験管にNaを入れてみる。そうすると、一回目より浮き上がってくるのが早くなる。そして、反応も緩やかになる。
三回目
沈んだかと思うと、すぐに浮き上がってくる。水素の発生がさらに衰える。
四回目〜
続けている内に試験管の所々に白い固まりが現れる。試験管を静置し、冷えて行くにつれて、全体が 白く固まったようになります。結局、一滴の液体も落ちてこなくなり、アルコールとNaの反応がここで完結 します。このとき白い針状結晶ができる。もし、Naが残っていても結晶の中にとらわれて反応しなくなっ ています。
ところで、この実験ではじめは沈んでいたナトリウムが浮き上がりましたが、これはNaとアルコールが反応するたびにナトリウムエトキシドが生成され、 その濃度が大きくなったからだと思われます。また、水素の気泡がナトリウムのまわりについていたのも原因の一つだと思われます。 この白い針状結晶をそのまま置いておくと、ナトリウムエトキシドはあまり安定でないため、保存状態により数日〜3週間程度で潮解し、褐色を帯びてきます。そしてさらに時間が経つと、刺激臭がにおい、黒々とした物質ができます。この物質はアルデヒド樹脂と呼ばれるものに変わっています。