ここでは水素分子を例にとってみましょう。ご存じの通り水素分子は無極性分子です。 少しややこしい話になりますが、水素原子が共有結合をすると水素分子になります。 ここで、電子は共有されるのですが、電子はいつも二つの水素原子の中間にあるわけではありません。 電子は常に動き続けているのです。それでも、共有というくらいだから、水素原子の中間に 電子がある確率が高い(中間地点にいることが多い)のです。
しかし、右図のような状態(a)も考えられます。
このような状態になると、電子が片方の水素原子側
によっているのだから、分子全体で見た場合、電荷
の偏りが生じます。(b)中のδは少しという意味。 この電荷の偏りにより、瞬間的に引力が生じます。 このように無極性分子であっても、極めて短い時間だが、極性分子のような状態になり、 そのときに働く力を分散力という。