例えば等式の意味、つまり左辺と右辺が等しいということさえ分かっていれば方程式の解き方を知らなくても
この問題は解くことができます。
まず図2の手順に従い、目的を決めます。
目的は
を満たす
の値を見つけることです。
次に仮定を行います。例え解き方を知らなくともこの仮定は行えます。
まず
だと仮定します。次にこれを用いて式(1)の左辺の計算を行い
となります。次にこの答えを検証しますが、明らかに左辺と右辺は違います。
よって最初の
の仮定が間違えていることが確認できました。
ここで解けないと諦めるのではなく再び
だと仮定して再び左辺を計算します。しかしそれでも
解けません。ここで諦めるのではなく再び
だと仮定して計算します。するとこれはうまくいき
答えは
であることが分かります。
解き方や答えが分からない場合でも、答えがでるまで仮定や推測を繰り返すのです。
原理上この方法で解けない問題はありません。なぜなら問題が解決するまで仮定や推測、検証を繰り返すからです。 もちろんどれだけ良い仮定や推測を行うかという問題が残されています。 この試行錯誤をいかにうまくできるようなるかが勉強の重要な目的の一つです。
また先ほどは適当な数値を答えがでるまで当てはめるという、質より量で攻めるような方法を紹介しましたが、 他にもいろいろな方法があります。その一つに、新しく見たものでも、自分の分かるものに置き換えて 考えるという方法があります。 例えば、式(1)を図3のようなイメージに置き換えてみましょう。 たいていの計算問題では式(1)のように式だけで、それが何を意味しているのか 与えられることはありません。それは問題を作った人が手抜きをしているだけなので、 矛盾がなければ自分で好きに解釈して構いません。そういう意味では 結論があっていればその途中はどうやっても良いので勉強はとても自由な世界です。
このような分かりやすいイメージが自分で作れれば、方程式を勉強していなくとも自然に解く ことができます。単に方程式を解くだけなら移項も何もいりません。足し算や引き算、掛け算、割り算 ができ、買い物などの普段の生活を送っていれば十分です。 これを他の問題にも広げて考えれば、勉強は学校だけでするものではないことが分かります。 上手く試行錯誤ができ、問題解決の能力があれば最小限の知識で様々な問題を解くことができます。
もちろんテストで良い点を取ろうと思うなら、方程式の解き方を学習する方が効率は良いでしょう。 試行錯誤することはある程度時間がかかるので、テストのような限られた時間内に問題数を こなす必要があるときは効率の良い方法を選んだほうが良い場合もあります。 取りあえず解ければ良いのか、それとも速く解けなければいけないのか、それは自分で判断する必要があります。 少なくともテストのように速さが要求されないのであれば、小学校で学ぶような知識で、中学校で学ぶことさえも できるということです。