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6.3 勉強の目標(長期的な目標と短期的目的)

前節で勉強を楽しむと言いましたが、それだけではなくやはりテストで良い点は取りたいものです。 勉強を楽しみ、なおかつテストで点数を取るためには、 勉強を続けた結果どうなりたいのかという長期的な目標を立てることが大切です。 定期テストで何点取りたいというような短期的な目標ではありません。何年もかけて達成したい目標です。

それではどのような長期的な目標を立てれば良いでしょうか。 まずは長期的な目標のイメージを図5に示しています。 長期的な目標とはなかなか簡単には達成できない最終的な目標です。そのため現時点ではそこまで辿り着けるのかさえ 分からないかもしれません。それくらい難しく、チャレンジのしがいのあることを目標にします。 もちろん学校の勉強よりもレベルの高い目標です。

図 5: 長期的な目標とは
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このようなレベルの高い、達成までに時間のかかる目標を立てる理由は、 レベルの高い長期的な目標を達成すれば、それと同時にそれよりもレベルの低い短期的な目標を達成できるからです。 つまり、テストで良い点を取ることを目指しているわけではないけれど、他のことをやっているうちに テストでも良い点が取れるようになるということです。またレベルが高くなかったり、あるいは勉強と全く異なる目標であったりしても、 学校の勉強との接点を見いだせるような目標であれば、 その達成に向かえば学校の勉強も自然にできるようになる可能性はあります。

それでは具体的に例を挙げてみます。英語であれば長期的な目標として、「やっぱ英語ができたらカッコイイよね。 英語の本が普通に読めて会話もできるのが目標だ。」と決めたとします。ここでは決してテストで点を取るのが目標ではありません。あくまで英語を日本語のように使いこなしたいというのが長期的な目標です。

この長期的な目標はすぐに達成できません。そして達成するためには日常的に英語に触れる必要があります。 基本的には学校とは関係の無い目標ですから、自分で好きな英語の本を探して読めば良く、 洋楽を聞いたりするのも良いでしょう。とにかく自分でできる、楽しいと思ったことから始めていきます。

これは一見すると学校の勉強と同じようですが、根本的に違うのは自分の意志で自由に、好き勝手に英語に触れているところです。 つまり英語を使って遊んでいるようなものです。そして学校の勉強のようにここまでやれば良いということも一切ありません。 このように日頃から英語に触れていれば自然と学校の英語の授業に対する意欲も高まり、結果的にテストの点も良くなるはずです。

次に科学を例に挙げれば、自分が疑問に思った自然現象の本質を知ることを目標とします。 多くの自然現象は中学や高校で学習する理科だけでは足りません。 学校の教科書は指導要領に基づき、ここまでしか教えないということが決まっており必ず限界が存在します。 そもそも中学校で習う内容でさえ本当に理解しようと思ったら中学校レベルの勉強をいくらやっても理解できません。 本当に理解しようと思ったら中学校の範囲を越えて高校、大学レベルの内容に触れる必要があります。

自分の長期的な目標は学校の制限を受けません。だから中学生や高校生であっても、中学や高校の学習範囲をどんどん越えて 行けば良いのです。このようにして学校の学習内容に関わらず、自分の目標に向かってやっていれば、 必ず学校のテストもできるようになります。長期的な目標に従って、中学レベルを越える内容に触れているのだから 中学レベルは自然とできるようになるのです。このように長期的な目標を持つことが重要になります。

この長期的な目標を立てることは、自分が得意にしたい科目で特に重要になります。 簡単に言えば、好きこそ物の上手なれということです。好きでいろいろやっていれば自然にできるようになります。 学校の範囲をひたすらやるよりは、自分の興味の赴くままにいろいろ触れた方が楽しいでしょう。

そうは言っても全てのことを突き詰めることは不可能なので、得意なものは長期的な目標に従い好き勝手にやり、 そこで得た知識や技術を使って他のどうでもよい科目でもまずまずの点数を取ることが大切です。 ここでは英語や科学(理科)のように直接勉強に関わる例に挙げましたがスポーツなど他のことでも同ことです。 ほとんどのものは勉強と接点があり、自分が専門とする分野で得たものは違う分野にもある程度応用が効きます。 だからどんな分野のことを目標にしても勉強はできるようになるはずです。安心して自分の好きなことをすれば良いと いうことです。

長期的な目標、それは夢と言い換えても良いかもしれません。そのような目標を立てることは勉強をする上で 不可欠です。そしてそれは学校の勉強ができるようになるというだけでなく、主体的に、つまり自分の意志によって人生を 歩むということです。長期的な目標を持つことは実に様々な効果があることが分かると思います。

その一方で長期的な目標を持つのは確かに難しいです。何が良いのかそう簡単に分かるものでもなく、 自分の未来もどうなるか分かりません。そういうときは、自分の理想をとにかく見つけ、それを目標にしてみるのも 一つの手です。テレビや新聞、書籍を参考に自分の理想像を作りあげ、それを目標にするのです。 その仮であってもレベルの高い目標に向かって進んでいれば、そのうち自分の本当の目標が見えてきます。


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